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2016年1月30日土曜日

安部公房のエッセイを読む会(第4回)を開催します。

安部公房のエッセイを読む会(第4回)を開催します。

今まで『詩と詩人(意識と無意識)』、『没落の書』を読み、今回は『〈様々な光を巡って〉』の前半部までを読みました。これまで、新しい発見が幾つもありました。いづれもぐら通信誌上にて発表されることになりましょう。

この読書会も、これまでの3回の開催で、もぐら通信発行人と此の会の発案者の須田さんの二人で、十分に地固めは終わりました。次回第4回は、次のような要領で開催致します。

ご興味のある方は、もぐら通信発行人宛、ご連絡下さい。:eiya.iwata@gmail.com


1。第1部:エッセイ輪読
安部公房全集第1巻205ページ上段のX印の中仕切り以降の文章と、『無名詩集』の掉尾を飾るエッセイ『詩の運命』です。

2。第2部:トポロジーを体験する
安部公房の文学の核心にあるtopology(位相幾何学)を実際に体験します。参加者は、次のものをご持参下さい。

(1)A4の印刷用紙:1枚
(2)鉛筆:1本
(3)消しゴム:1個

この体験によって、あなたは安部公房の世界を、単に論理的にのみならず、筆感として、従い安部公房のもぐら感覚である触覚として生理的に理解することができることでしょう。外部と内部が絶え間なく交換され、自分が一体どこにゐるのかを、また始めと終わりをどうするのかを、視覚と触覚で理解をしてもらはうといふのです。

3。第3部:『燃えつきた地図』の中の地図を解析する
(1)須田さん(理学博士:地図の専門家)による地図のトポロジーについての講義
  (仮題)「始点から見た終点」「終点から見た始点」と「内部と外部の交換」
(2)安部公房の書いた作品の中の地図を解析する
『燃えつきた地図』の中にある、安部公房の描いた地図を、第2部で描いた自分自身の地図と比較をして解析します。即ち、あなたは、自分自身と安部公房の差異を知るのです。


安部公房のエッセイを読む会を、第4回以降、英語に訳した”Club of  Abe Kobo’s Essays”と言う名前の各単語の大文字を採り、略称して、CAKEと通称します。ケイク、またはケーキです。安部公房の読書会らしく、身分に無関係な、superflatな読書会です。

ご興味のある方、または参加ご希望の方は、もぐら通信発行人宛、ご連絡下さい。:eiya.iwata@gmail.com

参加費用は、会場費も含めて、お一人2000円を考えております。

開催は桜の咲く頃。参加費用も含め日時が確定次第、ご案内します。

曜日はいつも土曜日。場所はいつも東京の西、八王子は草深き柚木の里なる南大沢文化会館です(最寄駅は京王線南大沢駅)。二次会は、最寄駅近くの安い、居酒屋という迷路をさ迷います。


もぐら通信第41号を発行しました。


もぐら通信第41号を発行しました。



目次は次の通りです。

0 目次…page 2
1 ニュース&記録&掲示板…page 3
2 『巫月』20句:九堂夜想…page 9
3 「安部公房~サウンド・音楽と映像による『無名詩集』朗読会」報告 :柴田望…page 10
4 特集:安部公房と成城高等学校(連載第4回)…page 17
5 ABE日誌9:滝口健一郎…page 42
6 存在とは何か~安部公房をより良く理解するために~(連載第1回):岩田英哉…page 52
7 安部公房と話しをする夢を見た:岩田英哉…page 69
8 リルケの『形象詩集』を読む(連載第10回):『花嫁』『Die Braut』 …page 72
9 奉天の窓から日本の文化を眺める(5):龍安寺石庭…page 86 
10 言葉の眼 1:Saddles with TimeDali…page 87            
11 編集後記…page 88
12 次号予告… page 88


今年最初の月もまた、いと寒し。あなたの巣穴で安部公房との温かいひと時をお過ごし下さい。

もぐら通信


2016年1月24日日曜日

YouTubeで安部公房『無名詩集』朗読会2016年1月23日をご覧下さい。


YouTubeで安部公房『無名詩集』朗読会2016年1月23日をご覧下さい。

以下のURLです:


全90分間の朗読会のうち、冒頭の30分を動画に収めてあります。

式次第は、次の通りです。

・安部公房『無名詩集』朗読会2016年1月23日 
・主催:東鷹栖安部公房の会

 0:42  東鷹栖安部公房の会 会長 森田庄一 ご挨拶
 2:55  『無名詩集』 朗読会 【プロローグ解説】 (柴田望)
 20:41 『無名詩集』 朗読 (柴田望)
      笑ひ・心・祈り・マスク・防波堤
      孤独より 其の一

  ※公民館2階会議室満席の盛会、ありがとうございます。
  全90分間の朗読会、冒頭の30分を動画に収めました。

・安部公房『無名詩集』朗読会2016年1月23日【エピローグ解説】

 また、YouTubeに同会の制作した次の動画が上梓されていますので、ご覧下さい。

改めて『無名詩集』の文字を読むと、誠に美しい詩集であると感じました。


・『無名詩集』 孤独より 其の一~其の十一 


・『無名詩集』 リンゴの実~真知のために 


・『無名詩集』 嘆き その故か 分かれ 倦怠 感傷 


・『無名詩集』安部公房Ⅴ ソドムの死 
  安部公房『無名詩集』研究 Ⅴ


北海道旭川という安部公房の本籍地での此の価値ある催事を契機に、あなたも『無名詩集』をお読みになると、安部公房の世界を一層深く理解できませう。

旭川の地で『無名詩集』という安部公房の本籍というべき詩集を研究なさっていることには、頭が下がります。

成果を是非もぐら通信にご発表戴きたい。






2016年1月22日金曜日

安部公房『無名詩集』朗読会(2016年1月23日(土))をustreamで配信します。


安部公房『無名詩集』朗読会(2016年1月23日(土))をustreamで配信します。


是非チャンネルの登録をして、ご視聴下さい。



また

1月19日(火)北海道新聞夕刊「短信」に掲載されました。



更に、1月22日の北海道新聞朝刊「旭川・上川」に、朗読会の記事が掲載されました。



「旭川・東鷹栖ゆかり安部公房の作品
 あす『無名詩集』朗読会」

ご興味お有りの方にはぜひご参加頂ければ幸いです。

Ustreamにてライブ中継も試みますので、ネットにてご参加下さい。


http://www.ustream.tv/channel/SR8NJ3khEa2

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安部公房 ~サウンド・音楽と映像による朗読会
『無名詩集』朗読会
「存在」とは何か? 「夜」とは何か?
「一瞬に於る夜の具体的直覚」とは何か?
*
日 時 : 2016年1月23日(土)
(開演 13 時 30 分  終演 15 時 00 分)
場 所 : 東鷹栖公民館 会議室 (旭川市東鷹栖4条3丁目)
参加費 :無料
主 催 : 東鷹栖公民館 ・ 東鷹栖安部公房の会
*
「抒情への巣ごもりの拒否と、悪夢と化して走る獣の決意、それが安部公房の出発点である」(新潮日本文学アルバム『安部公房』より)
*
・旭川ゆかりの世界的作家・安部公房が1947年(昭和22年)、23歳のときに出版した『無名詩集』の朗読会を行います。
・解説では安部公房が20歳の時に書きあげた詩論『詩と詩人』より、戦中・戦後の混乱期に故郷を失い、故郷を求め、現実と対決した安部青年の決意に迫り、安部文学の原点を探ります。
・音楽・サウンドと映像による新しいタイプの朗読会を企画致しました。《東鷹栖安部公房の会》会員による朗読、解説、制作動画(映像作品)をお楽しみください。(安部公房が所有していたシンセサイザーEMS Synthi AKSの音色と映像資料をご紹介します
*
お問い合わせ先 : 東鷹栖公民館 0166-57-2622

2016年1月21日木曜日

安部公房『無名詩集』朗読会を、1月23日(土)に開催します


安部公房の本籍の地、旭川の東鷹栖安部公房の会にて、安部公房『無名詩集』朗読会を、1月23日(土)に開催します。


『安部公房 ~サウンド・音楽と映像による朗読会 『無名詩集』朗読会 「存在」とは何か? 「夜」とは何か? 「一瞬に於る夜の具体的直覚」とは何か? 』

日 時 :2016年1月23日(土)
     (開演 13 時 30 分  終演 15 時 00 分)    
場 所 : 東鷹栖公民館 会議室 (旭川市東鷹栖4条3丁目)    参加費 :無料    
主 催 : 東鷹栖公民館 ・ 東鷹栖安部公房の会 

・「抒情への巣ごもりの拒否と、悪夢と化して走る獣の決意、それが安部公房の出発点である」(新潮日本文学アルバム『安部公房』より) 
・旭川ゆかりの世界的作家・安部公房が1947年(昭和22年)、23歳のときに出版した『無名詩集』の朗読会を行います。 
・解説では安部公房が20歳の時に書きあげた詩論『詩と詩人』より、戦中・戦後の混乱期に故郷を失い、故郷を求め、現実と対決した安部青年の決意に迫り、安部文学の原点を探ります。 
・音楽・サウンドと映像による新しいタイプの朗読会を企画致しました。《東鷹栖安部公房の会》会員による朗読、解説、制作動画(映像作品)をお楽しみください。(安部公房が所有していたシンセサイザーEMS Synthi AKSの音色と映像資料をご紹介します 


お問い合わせ先 : 東鷹栖公民館 0166-57-2622 https://www.facebook.com/nozomu.shibata.94

安部公房と話しをする夢を見た。

安部公房と話しをする夢を見た。

何故か、「既にして」、従い超越論的に、安部公房と歩きながら話をしてゐる。時間の前後のない世界、従い時間の無い世界である。

歩いていると、向こうに工事現場であるのか、何か枠組みの足場のようなものが、全然高くではなく低く組み立てられていて、青いビニールシートがその一部に小さな屋根のように被さっている。

あれ、安部公房がいなくなった。と思ったら、いつの間にか、その青いビニールシートの下に横になっている。横になっている安部公房、頭は私の側にあって、足は向こうである。寝そべっている。あれ、安部公房、ここにいたのかと思い、また話かけて、話の続きをする。

いや、君、そうなのかと、安部公房は言う。そうして、起き上がって、またいつの間にか、二人で歩き始め、割合と歩いたはずであるのに、実は、安部公房の寝そべっていた場所の直ぐ裏側に、依然として居て、また二人でいて話をしているのだった。

と、これもいつの間にか、従い超越論的に、二人の年配の男たちが、私たち二人の側、安部公房の後ろ側に立っていて、私たちの会話をいつの間にか聴いているのだ。私からは見えるが、安部公房からは背中の向こうに立っているという配置である。

黒い背広を二人とも着ていて、何かよく似た二人である。これも黒いシルクハットのやうな、しかし天辺の丸い、丈のある帽子を被っていたかもしれない。

この間(かん)、いつの間にか歩いている場面から、この二人の素性不明の男たちに私たちが気づくまでの間の話は、存在と言語の本質論であったように思いだされる。

今、今月号(第41号)のもぐら通信のために「存在とは何か~安部公房をよりよく理解するために~」と題して、トポロジーも含めて、安部公房という缶詰を開けるための缶切りの話を書いているからかも知れない。[註1]

[註1]

『「安部公房」に缶切りを!~安部ねり&加藤弘一 -トークライブ報告~ 2013年2月20日紀伊國屋書店新宿南店』(もぐら通信第6号。ホッタタカシ報告)より以下に引用して、この缶切りという隠喩(metaphor)の由来をお伝えします。:

「「本当にウマの合った二人だった」と安部公房と三島由紀夫の幸福な交遊関係に触れ、安部公房の友達は右翼が多かったな、とポロリ。さらに、「『終りし道の標べに』が出た時、推薦人は埴谷雄高、激賞の手紙を送ってきたのは石川淳、最初に批評を書いて褒めたのが三島由紀夫。『S・カルマ氏の犯罪』で芥川賞をもらった時は、川端康成が推してくれました。認めてくれるのは作家ばかりなんですよね、評論家じゃなくて」
 と言うと、加藤さんもうなずき、
「評論家は鈍いですね。三島論にくらべると安部論はぜんぜん少ないし……」
 なぜ少ないのかと問われて、
「缶切りが見つからないんだと思いますよ。安部公房の文学をどうやって蓋開けていいのか、わからないんです」「みなさん、(缶切りを)見つけてください」
 と、ねりさんの観客への呼びかけで1時間のトークライブは幕となった。」



安部公房について書こうとして、また実際に書いていると、安部公房が私の後ろに「いつの間にか」(従い、超越論的に)立っていて、書くために私が安部公房全集の一巻を開こうとすると、恰も、そうする前に、君、ほらそこだよ、ほら此処にあるよと、指差してそう言って教えてくれるような経験をずっと、もぐら通信発行当初の頃からしてきたが、この夢も、その延長にちがいない。

霊性のつながりということがある。霊的な世界というは、確かに存在するのだ。

いつも、机に向かって机上で安部公房全集第30巻で検索をしてから、私の書棚に歩いて行って、ガラスの扉を開き、安部公房全集の当該巻に手を伸ばそうとすると、其処に求めている安部公房の文章の間違いなくあることを既に知っていて、そのことの確信を「既にして」覚えてゐることとがいつもあったし、ある。そして、その通りのことが起こり、夥(おびただ)しい相互参照が短い時間の中に全三十巻の中でお互いのテキスト(文章)を巡って猛烈な速度で自然に生まれるのであり、発生するのだ。今でもそうである。

私が何かをしているというのではない。何を書いても、一人で何かを書くことはできないものだ。

もしこう言ってよければ、安部公房論を書くときには、安部公房の霊がいつも傍に立っているという感じが、実感として、する。私も存在になったのだろうか。

この間(かん)、最初は全集第1巻と第30巻だけで安部公房論を十分に書くことができていて、この2巻だけが私の机上にあれば安部公房を論ずるには十分であり、従い、必要な都度書棚へ行き、必要な一巻に手を伸ばして、その一巻を手にして机の上に戻って来て調べ、書くことをすればよかったものを、『安部公房と共産主義』(もぐら通信第29号)を書いた時には、これも不思議なことにいつの間にか、気付かぬうちに、残りの28巻が、私の机上と袖机の上に、恰も全集の一巻一巻に脚が生えていて意志を以って歩いて移動して来たかの如くに、ずらりと並んでしまっていて、ああ、安部公房にとって共産主義というものは、その生涯の全ての時間を貫くものであり、本当に大切なものであったのであり、今でもあるのだなあと、しみじみと、そう思ったことである。

勿論、安部公房の共産主義は、20世紀に流行したマルクス主義とは縁もゆかりもない、主義ですら勿論ない、人々のために自己の死を最優先に考えた思想であり、いふまでもなく本質的な、思考論理である。[註2]

[註2]

23歳の安部公房が親しく哲学談義を交わした友、中埜肇に当てて書いたように、それは「新象徴主義哲学(存在象徴主ギ)とでも言はうか、やはりオントロギー(筆者註:存在論の事)の上に立つ一種の実践主ギだつた。存在象徴の創造的解釈、それが僕の意志する所だ。」とある通りです(全集第1巻、270ページ。中埜肇宛書簡第10信)



それが、安部公房のtopology(位相幾何学)であり、言語機能論であり、相対的な存在概念であり、一言で言えば存在であり、従い、汎神論的な存在論である。

どれも、再帰的人間、安部公房にとっては、同じものであり、その意味するところは、同じことであった。

19歳の時の小説『(霊媒の話より)題未定』という処女作への命名の示す通りに、安部公房はもう既にこの時、リルケを耽読しながら、一重丸括弧に限られて示されている其の差異に在る存在に棲む隠れたシャーマンだったのであり、存在から外に出ると其の未分化の実存が直面する現実はいつも混沌としていて題未定の迷路迷宮の世界、即ち、人さらいにあって旅する孤児の世界であるのだ。


シャーマン(安部公房)よ 題未定のままに 永遠なれ

2016年1月8日金曜日

早稲田大学オープンカレッジでの安部公房講座開催ならず


早稲田大学オープンカレッジでの安部公房講座開催ならず

2015/11/30にお伝えした安部公房講座ですが、参加者が少なく、開催が中止となりました。

下記の要領でしたが、誠に残念です。


2016年
1月8日10:40~12:10
「安部公房スタジオ」の芝居作り(イメージの展覧会)
講師:奈木 隆(尚美学園大学教授)

1月15日10:40~12:10
安部公房の演出をめぐって
講師:眞鍋卓嗣(劇団俳優座演出家)

1月22日10:40~12:10
「安部公房スタジオ」の芝居作り(ウエーを中心に)
講師:大西加代子(女優)

1月29日10:40~12:10
安部公房演劇の歴史意義について
講師:宮本啓子(白百合女子大学講師)

すべて会場は、

早稲田大学エクステンションセンター早稲田校
〒169-8050新宿区西早稲田1-6-1
03-3208-2248

受講料 会員 9,461円 ビジター 10,886円


各回の講義予定


日程
講座内容
1
01/08
「安部公房スタジオ」の芝居作り(1)
77年の『イメージの展覧会』以降、音+映像+言葉+肉体=「イメージの詩」の創造を目指した抽象的な作品が上演されます。それらに出演し、安部の音作りの助手を勤めた講師が視聴覚資料等を用いて作品を解説します。
2
01/15
安部公房作品の演出をめぐって
俳優座の演出家である講師が、『巨人伝説』につづいて『城塞』を演出します。「今」を見つめ、社会と人間を描いてきた安部公房の作品を、五十年の時を経て今なぜ上演するのか、安部作品のもつ現代性を語ります。
3
01/22
「安部公房スタジオ」の芝居作り(2)
学生時代から安部公房の演劇作りに関わってきた講師が、自身が演じた『ウェー(新どれい狩り)』などの作品を例にとって、安部公房スタジオのユニークな芝居作りと、そこで生み出された安部演劇の魅力を語ります。
4
01/29
安部公房演劇の歴史的意義について
第一回は、小説『闖入者』をもとに書かれた『友達』を取り上げ、小説との比較から、安部公房の演劇観を明らかにします。安部の考える演劇が従来の演劇とどのように異なるかを考え、その歴史的功績を解説します。77年の『イメージの展覧会』以降、音+映像+言葉+肉体=「イメージの詩」の創造を目指した抽象的な作品が上演されます。それらに出演し、安部の音作りの助手を勤めた講師が視聴覚資料等を用いて作品を解説します。