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2012年11月7日水曜日

安部公房の未発表の作品「天使」が発見された


今朝あるビルの液晶TVのニュースの画面で、安部公房の未発表の作品「天使」(22歳のときの作)が発見されたとの報道を見ました。

これは、この題名からいって、明らかにリルケです。

2003年の世田谷文学館の安部公房展の図録によりますと、安部公房は、リルケの晩年の二つの大作、ドィーノの悲歌とオルフェウスへのソネットのうち、前者を岩波文庫で持っており、間違いなくその作品を読んでおりました。

このドィーノの悲歌の天使は、それまでのリルケの歌った優しい天使と大きく違い、恐ろしい威力を持った天使です。この天使については、以前わたしの詩のブログ、詩文楽で論じましたので、お読みくださるとありがたく思います。:http://shibunraku.blogspot.jp/2009/07/blog-post.htmlhttp://shibunraku.blogspot.jp/2009/07/blog-post.html

安部公房の天使がどちらの天使なのか、ドィーノの悲歌の天使なのか、それ以前の詩集の、例えば形象詩集のような天使なのか、そうしてリルケの詩の中の天使から何をどう変形させて、自分の世界を構築したのか、遺稿が発表されたら、またもぐら通信で論じたいと思います。

今月号のもぐら通信の連載の第1回目はエドガー・アラン・ポーで、安部公房の変形能力の3回目がリルケですので、それまでに遺稿がどこかの雑誌に発表されることを願っています。

報道によれば、12月号、今日発売の新潮に掲載されるとのことです。

http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20121107-OYT1T00179.htm?from=ylist


[岩田英哉]

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