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2014年11月9日日曜日

何故安部公房は自動車が好きだったか


何故安部公房は自動車が好きだったか


今日、不図思って、判ったのであるが、何故安部公房が自動車をあんなに好きであったのかという理由が判ったので、以下に列挙します。

1。バックミラー(後方鏡)があること。
2。密室、箱、立方体であること。
3。絶えず移動して止まぬ場所、一所不住(mobility)、一所不在の場所であること。

この3つであると思う。

1については、全集のどこかに、満洲の瀋陽での小学校時代に、冬に吹雪が吹いてくるので、小学校へ行く道々、顔に吹雪が吹きつけて余りに辛いので、背中を吹雪に向けて、後ろ向きで前進して学校へ行くために、 バックミラーの発明をした、或いは考えたということを述べているものがあります。

「安部 零下二十何度かになると学校休みだったな。後ろ向きに歩ける眼鏡を発明しようとしたことがあるよ、本気になって。風に向かって歩くとつらいんだ。眼も鼻も凍ってしまう。」(『錨なき方舟の時代』全集第27巻、156ページ上段)

このときから、安部公房は、バックミラーでものをみる人間であったのです。つまり、自己の背中と背後を見るために、バックミラーを、安部公房は必要としたのです。

今正確に引用することができないが、全集の中に、バックミラーに映る現実を写した写真がある。

2。密室、箱、立方体については、言うまでもないと思う。安部公房の小説はすべて密室の、閉鎖空間からの脱出の物語であることを読者はよく知っていると思うから。

3。絶えず移動するということは、これも、文字にはっきりとなっているのは、安部公房の10代の詩『旅よ』に歌われているとき以来の、安部公房の精神である(全集第1巻、76ページ)。







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